平成29年1月28日
前歯の歯茎の根元が腫れを繰り返すとのこと。
さて、このようなレントゲンを見た場合、患者さんが言わなくてもすぐに、「外傷の既往がないか?」と頭に浮かばなければなりません。
患者さんに、過去にぶつけたことはあるかを聞いてみると、やはり7歳くらいの時にぶつけて神経を取ったとのことでした。
外傷の既往は根管治療の予後に大きく関係する重要な因子です。患者さんに少し「しつこく」聞きましょう。
小さいころに起きたことなので、はっきりと覚えていないこともあります。球技をやっていて顔にボールがぶつかったことはないか?、など間接的なことも聞いて、患者さんが思い出せるように誘導しましょう。
このような過去に外傷の既往があり、太いポストが装着されている症例ですが、短期的な予後が良い症例が多いように感じます。
というのも、根管が太く、根尖が見やすいため、感染が除去しやすいからなんでしょうね。
ただし、長期的な予後に関しては、破折の可能性があるので、なんとも言えません、、、。
しかし、患者さんに対する説明では、
・外傷を受けた歯の予後はよくない(歯根吸収が起こるかもしれない)
・再根管治療の成功率は80%程度
・外科的処置が必要になることもある
・すでに破折している可能性もあり、その場合は抜歯適応
といった、ややネガティブな説明を行います。
頭の中では、うまく行きそうだと思ってはいるのですが、楽観的な説明は避けるようにしています。
具体的な治療内容の予想としては、
1回目 TEKに置き換え。 1時間
2回目 コア除去、隔壁作製。根管内洗浄。 1時間
3回目 おそらくここでフィステルが消失。根管洗浄 1時間
4回目 根充(たぶんMTAで)。ファイバーポスト支台築造 1時間
こんな感じでしょうね。
今回の症例についてはまだ患者さんの治療の承諾を得ていないので、後々報告します。
ここの患者さんを診た医院では、このような症例の場合、保険診療で根管治療を行うことはしていません。
成功率と費用のバランスを患者さんに考えてもらってご自身で結論を出してもらいます。
抜歯して補綴したほうが、後でなんらかの再治療となる可能性は少ないですからね、、、。
抜歯しても、保存してもどちらでも正しい治療法だと思います。